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住民継承 石碑も新設 可部の原爆慰霊碑 寺山公園広場で管理

 広島市安佐北区可部町上原の山中にある木製の「可部地区原爆被爆者慰霊碑」が可部東の寺山公園に移され、新たな石碑と合わせて設置されることになった。管理者だった地元の被爆者団体が休眠状態になったため。寺山公園の管理を担う住民グループ「寺山公園をつくろう会」が引き継ぎ、被爆の惨禍を後世に伝える。(山田英和)

 慰霊碑は高さ約1・3メートルの木柱で寺山(102メートル)の山道沿いにある。被爆死し、近くを流れる根谷川の河川敷で焼かれた百数十人の冥福を祈る。管理者だった市原爆被爆者協議会可部支部のメンバーがゼロとなり、3月から休眠状態になったため、同会が移設を提案。多くの人に見てもらえるよう約250メートル北にある寺山公園の一角へ移すことにした。

 慰霊碑は、根谷川や可部の町並みを見渡せる広場に据え、ほぼ同じ高さの石碑も新たに設置。約60万円の石碑の制作費は広島可部ライオンズクラブが負担し、寄贈する。

 移送作業は、今月中旬から同会の会員がボランティアで開始。広場の植栽を別の場所に植え替えるなど準備を進めており、10月下旬の完成を見込む。被爆者協議会の可部支部長だった明賀千鶴子さん(83)=可部東=は「碑のことが気になっていたが、どうにもできなかった。とてもありがたい」と感謝する。

 寺山公園をつくろう会の遠北(えんきた)剛会長(83)は原爆投下後、根谷川への遺体の搬送作業に従事した。女性や子どもが犠牲になったことが忘れられないといい、「この出来事を知らない人が多い。罪のない人が多く亡くなったことを語り継がないといけない」と、平和への決意を新たにする。

(2017年9月27日朝刊掲載)

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