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シュモーハウス 来館者急増 復興支援 共感呼ぶ 「この世界」効果も

 米国の平和運動家、故フロイド・シュモー氏が広島市中区江波二本松に残した「シュモーハウス」の来館者が急増している。原爆資料館の付属展示施設で、4~8月は1109人と前年の2.5倍。江波地区が舞台の一つになったアニメ映画「この世界の片隅に」の原画展の反響のほか、シュモー氏の人道的行動も再評価されている。(桑島美帆)

 夏休みの8月は2012年11月の開館以来、月別で最多の564人が来館し、9月も好調が続いた。千葉県から出張中に立ち寄った川崎雅也さん(33)は「テレビでシュモーさんの活動を知り、感銘を受けた」と話す。この夏の全国ネットの民放番組で足跡が紹介された効果も小さくない。

 修学旅行生の利用も相次ぐ。原爆の被害に加え、復興を支えた外国人の活動を学ぶためだ。「この家が広島の人に元気を与え続けたことを感じる」と兵庫県三田市の三輪小6年の三枝美海さん(11)。岐阜市の加納中3年の前川菜摘さん(15)も「自分も人のためにできることを考えたい」と力を込めていた。

 シュモーハウスは1951年に集会所として建設された。49~53年にシュモー氏が被爆者の住宅確保のために仲間と建てた「広島の家」21戸のうち唯一、現存する。保存を求める声を受けて市が2012年11月に移転、展示施設として公開した。ただ来館者は伸び悩み、被爆70年の15年度も902人にとどまった。

 今年2~5月に開催したアニメの原画展は、原爆資料館の手による打開策。今後も「広島の家」で暮らしていた住民の証言や関連資料などを集め、企画展開催や展示の充実を図る方針だ。

 市民団体「シュモーに学ぶ会」の役割も大きい。メンバーが交代でボランティアガイドを務め、紙芝居や絵本を制作してシュモー氏の活動や志を伝えてきた。西村宏子代表(60)は「人種や宗教、性別を超えて、困った人を助けるシュモーさんの精神は時代が変わっても共感を呼ぶ」と語る。

(2017年10月2日朝刊掲載)

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