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移設作業の開始前に法要 旧制広島市立中の原爆慰霊碑

 広島市中区小網町の天満川河岸緑地にある旧制広島市立中(現基町高)の原爆慰霊碑前で2日、碑を管理する基町高同窓会が法要を営んだ。堤防整備に伴い、碑を同高(中区西白島町)敷地内へ移す作業が3日に始まるため、現在地では最後の追悼行事となった。

 雨の中、営まれた法要には遺族や工事関係者たち約30人が出席。碑前で焼香し、手を合わせた。

 同中では、爆心地から約900メートルの小網町一帯へ建物疎開作業に動員された1、2年生が全滅するなど約370人が原爆の犠牲になった。慰霊碑は1948年に同町の寺に建立。75年、現在の場所に移された。

 当時1年の弟を亡くした田中滋さん(86)=東区=は「弟は遺骨さえ見つからず、碑が供養の目印だった。移設は残念だが、核兵器の恐ろしさを伝え続けてほしい」と話していた。

 堤防整備を進める国土交通省太田川河川事務所などによると、碑は同高の北門横に設置され、11月中に工事が完了する予定。(長久豪佑)

(2017年10月3日朝刊掲載)

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