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原子力顧問 16人に 島根県 原子炉工学の3人増員

 島根県は3日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の再稼働に対する意見を聞く県原子力安全顧問を新たに3人に委嘱し、16人体制としたと発表した。いずれも原発の運転技術の核となる原子炉工学の専門家。

 明治大法学部の勝田忠広准教授、京都大の芹沢昭示名誉教授、ミラノ工科大(イタリア)エネルギー工学科の二ノ方寿教授で、就任は10月1日付。任期は他の委員と同じ2014年6月まで。ことし7月に原子炉工学が専門の委員1人が辞任し補充を急いでいた。

 県によると、勝田准教授は脱原発を目指すNPO法人原子力資料情報室に所属歴がある。芹沢名誉教授は福島第1原発事故後の被災地の除染経験、二ノ方教授は国際的な原発研究の実績を持つ。

 県は、原子力規制委員会の委員の選任基準を基に、3人の電力会社からの金銭授与を自己申告制でチェック。いずれも不適切な受領はなかったという。(樋口浩二)

安全協定締結 「協議を継続」 3市に中電伝達

 中国電力は3日、島根原子力発電所30キロ圏の出雲、雲南、安来市から要望を受けていた立地自治体並みの原子力安全協定の締結について、3市に「現時点で回答できる状況にない。今後も協議を継続したい」と伝えた。

 中電島根原子力本部の古林行雄本部長たちが3市を訪れ伝達した。

 出雲市の長岡秀人市長は「ゼロ回答に等しい。全国の原発周辺自治体と協議し国に働き掛ける必要がある」と述べ、雲南市の藤井勤副市長は「県市長会を通じて国に働き掛ける」とした。安来市の近藤宏樹市長は「国の方針が決まらない現段階では回答できないだろう」と理解を示した。

 3市は、国が原発の防災対策重点地域を30キロ圏内に拡大することを受け、8月29日に原子炉増設時の事前了解やトラブル時の立ち入り調査権を盛り込んだ協定締結を中電に申し入れていた。

(2012年10月4日朝刊掲載)

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