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オスプレイ 試験飛行で通報57件 うち13件「合意違反」

 山口県岩国市の米海兵隊岩国基地で9月21~28日に行われた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの試験飛行をめぐり、県内の各自治体に期間中、住民から57件の通報があった。中国新聞社が全19市町に問い合わせてまとめた。

 57件のうち50件が岩国市に寄せられ、通報は基地近辺に集中した形。下関や下松にも問い合わせや苦情があったものの、目撃しても自治体に通報していないケースも多いとみられる。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備され、本格運用が始まれば、オスプレイの目撃や苦情はさらに増す可能性がある。

 日米合同委員会は、可能な限り水上を飛行し、運用上必要な場合を除き、米軍の施設・区域内のみヘリモードで飛行することなどで合意。米軍は「岩国での飛行はすべて海上で行われている」とするなど、日米両政府は合意違反の飛行はないとの認識だ。

 一方で、日米合意に違反していると指摘する通報は13件あり、いずれも岩国市に寄せられた。通報件数は試験飛行が始まった21日が19件と最も多く、24日が11件で続いた。米軍が試験飛行をしなかった29、30の両日は1件もなかった。

 通報先と内容は、「市街地上空は飛ばないのではなかったか」(21日、岩国市)▽「真上をUターンした」(23日、岩国市)▽「運動会の片づけ時に上空を飛んだ」(24日、周防大島町)▽「低空で危険な感じがする」(25日、岩国市)-などとなっている。

 岩国基地に搬入されたオスプレイ12機は1日から普天間飛行場へ移動を開始。すでに9機が到着している。残る3機の配備完了後に本格運用が始まるとみられるが、元県議の久米慶典さん(56)は「配備後は岩国だけでなく県内の他地域や中国地方の訓練区域もどんどん使われる。試験飛行では行われていない夜間訓練もするだろう」と指摘。通報は今後ますます増えると指摘している。

(2012年10月4日朝刊掲載)

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