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広島東照宮の石碑 復活 西南戦争で犠牲 広島兵士悼む

72年ぶり 住民ら費用集める

 西南戦争(1877年)で犠牲になった広島の兵士を悼むため、戦争翌年に広島東照宮(広島市東区)に建立された石碑の復元除幕式が7日あった。原爆と戦後の混乱で所在不明になっていた碑を、住民たちが72年ぶりに復活させた。(有岡英俊)

 石碑は高さ2・8メートル、幅1・3メートル、奥行き0・4メートル。境内の石鳥居の脇に設置された。「明治維新三傑」の1人の西郷隆盛が士族を集めて九州で起こした反乱の概要や、鎮圧した政府軍の一員として広島鎮台の兵士数百人が犠牲になった歴史が刻まれている。

 石碑は原爆投下、終戦を経て所在が不明になっていた。2013年、西区の庭園に据えられていたのを佐伯区の石材業者が引き取って保管。15年、それを知った郷土史家田辺良平さん(82)=東区=たちが史料を調べ、戦後に行方不明だった石碑だと判明した。

 田辺さんや地元の町内会役員たち19人は、近代黎明(れいめい)期の広島の歴史を伝えようと今年3月、石碑の復元委員会を発足。寄付で石碑の運搬や台座設営の費用350万円を集めた。

 式には約60人が出席。田辺さんは「西南戦争の功績は広島が軍都としての歩みを強めるきっかけとなった歴史。原爆投下にもつながった。多くの人に知ってほしい」と話した。

(2017年10月8日朝刊掲載)

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