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紙芝居で訴え 原爆の悲劇 広島の山上さんと進徳女子高美術部

 広島市南区の観光ボランティアガイド山上隆男さん(70)と進徳女子高の美術部員が、原爆で両親を亡くした男性の体験を基にした児童書を、スライドで上演する紙芝居にした。部員が描いた絵や当時の写真を映し、山上さんが朗読する。5日、同校で初披露する。

 児童書「ハトのお爺(じい)さんの話」は、相模原市の藤井正伸さん(76)が書いた。原爆が投下された当時、藤井さんは9歳で三次市三良坂町に疎開していた。両親は広島市内で被爆して亡くなり、姉3人とともに残された。家族の悲しみをハトの目を通して描いている。

 中区の平和記念公園を案内する山上さんは2008年、広島市を訪れた藤井さんから児童書を手渡された。知人を通じ、美術部に紙芝居作りの協力を依頼。3年生9人が燃える市街地などの場面を画用紙10枚に描いた。

 長門優夏部長(17)は「日常が突然奪われる怖さを感じた。色調を変え、変わり果てた街を表現した」と話す。

 山上さんが原爆投下前後の写真などを加え、約30分のスライドにまとめた。5日は、これまでに亡くなった同校の教職員や卒業生たちを追悼する法要内で上演する。

 山上さんは「若い世代に平和の尊さを伝えたい。要望があれば学校などで上演する」と話している。(山田太一)

(2012年10月5日朝刊掲載)

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