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北広島上空で熱源射出 米軍機訓練? 民家点在

 広島県北広島町の上空で、米軍機とみられる機体が火炎弾「フレア」の射出訓練をした可能性があることが14日、分かった。複数の住民が目撃した。フレアは向かってくるミサイルを回避するためのおとりの熱源で、専門家は「民家が点在する地域での訓練は記憶にない」としている。

 目撃されたのは11日午後2時半~3時ごろ。同町の農園で作業中に目撃した岩本晃臣さん(49)によると、機体が高度や場所を変えながら一度に二つの火球を複数回射出。射出後、急上昇することもあった。

 動画を撮影した岩本さんは「これまで見たことがなく、不安に感じた」と話す。機影などからFA18戦闘攻撃機とみられる。

 町は、住民から提供を受けた映像を16日、広島県へ提出。県は国に事実関係を照会し、対応を検討する。

 フレアは赤外線探知などで追尾してくるミサイルを誘導、かく乱するために使われる。軍事評論家の前田哲男氏によると、放出する訓練は通常、海上で行われる。農園は町芸北支所の西2・5キロにあり、近くには民家や店舗などがある。前田氏は「フレアは上空で燃え尽きるため地上での危険性は少ない。しかし、実戦想定の訓練で、住民が不安になるのは当然だ」と指摘する。

 目撃された地域は、西中国山地の米軍の訓練空域「エリア567」内。前田氏は「機体は米海兵隊岩国基地(岩国市)所属の可能性が高い。北朝鮮情勢の緊迫化で、米軍が実戦訓練を重ねている」とみる。(山田太一、和多正憲)

(2017年10月15日朝刊掲載)

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