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惨状語る子どもの遺品 原爆資料館で企画展

 広島原爆の犠牲になった子どもの遺品と最期の言葉を紹介する企画展が、広島市中区の原爆資料館東館で開かれている。同館学芸課は「もし自分の家族だったら、と想像してほしい」と来館を呼び掛けている。

 寄贈資料から、4人分の遺品計6点を選定。それぞれの遺影の脇に、子どもに先立たれた親やきょうだいの手記などから抜粋した最期の言葉を添えた。

 色あせた定期入れは木島和雄さん=当時(15)=の遺品。横川町(現西区)で倒壊した駅舎の下敷きになり、炎にのまれた。「これを宮島の家族へ渡してください」。死を悟り、助けようとした警察官に定期入れを託したという。

 雑魚場町(現中区)で被爆した天野保義さん=当時(13)=の遺品は、生前に描いた帽子の絵と、おはじきなどが入った箱。自身が生まれた年に父を亡くしていた。被爆から2日後、生死をさまよう中で「お父さんが待っている」とうわごとを言ったのが最期だった。

 企画展は、半年ごとに入れ替える収蔵資料紹介コーナーで展示している。来年4月11日まで。(田中美千子)

(2012年10月6日朝刊掲載)

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