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猿猴橋の記憶 映画で後世に 南区の浴本さん製作

 広島市南区のJR広島駅近くに架かる猿猴橋を題材にした自主映画「風の記憶」を、南区の浴本(えきもと)一行さん(62)が製作し、26日から公開する。華麗な装飾が戦時中の金属供出で失われた史実をヒントにしたサスペンス。装飾復元を目指す地元の住民グループは予想外の応援を歓迎している。(藤村潤平)

 架空の国の大統領の娘が広島市を訪れ、日系1世の祖母の思い出の橋を探すストーリー。県内でモデルとして活躍する広島インターナショナルスクール(安佐北区)3年のKALEN(カレン)さん(17)が主演した。

 浴本さんは陸上自衛隊を退職後に映画製作を始め、2作目。「現在の猿猴橋からは想像できない戦前の華麗な装飾を知り、映画になると直感した」という。4月から約3カ月間で全てのシーンを市内で撮った。

 地元の「猿猴橋復元の会」はまず、来年秋を目標に、親柱を復元したモニュメントの設置に向けた寄付を募っている。大橋啓一会長は「活動を理解してもらうのに絶好の作品」と思いがけない出会いを喜ぶ。

 会の存在を知らなかった浴本さんも「お役に立てるなら幸せ」と、近く地元での特別試写会を開くなど意気投合する。

 上映会は26、27日に西区、31日に東区、11月3日に南区の各区民文化センターで、いずれも午後6時50分から。当日千円。27日は既に売り切れた。浴本さんTel090(1515)1599。

(2012年10月11日朝刊掲載)

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