×

ニュース

田中氏・藤森氏出席 平和賞授賞式 被団協が派遣

 日本被団協は30日、国際非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))にノーベル平和賞が授与される式典に、田中熙巳(てるみ)代表委員(85)と藤森俊希事務局次長(73)を派遣すると発表した。2人は「世界に核兵器廃絶をアピールする機会にしたい」と意気込んでいる。

 授賞式典は12月10日、ノルウェーのオスロである。ICANは、核廃絶に取り組んできた実績を踏まえて被爆者の出席を求め、被団協に人選を依頼していた。2人は12月8~14日の日程で訪問し、式典や夕食会に出席する。式典でスピーチする予定はないが、関連行事などで機会があれば被爆体験や核廃絶への思いを訴える、としている。

 式典ではICANのベアトリス・フィン事務局長と広島市出身の被爆者サーロー節子さん(85)=カナダ・トロント市=が演説し、記念メダルと賞状を受け取る予定となっている。

 ノルウェーのノーベル賞委員会は、ICANが被爆者たちと連携して核廃絶を訴え、禁止条約制定に努めたことを評価した。田中氏は「全国の被爆者の喜びを背負って出席する。機会があれば、廃絶に向けてみんなで力を合わせようと発言したい」と話す。藤森氏は「核保有国や日本など同盟国が条約にそっぽを向く中で、受賞は絶好のタイミング。運動を広げる力になれば」と期待する。

 田中氏は埼玉県新座市在住。13歳の時、長崎市で被爆し、親族5人を亡くした。1970年代から被爆者運動を引っ張っている。長野県茅野市に住む藤森氏は、1歳4カ月の時に今の広島市東区で被爆。爆心地付近にいた姉は行方不明となった。今年は国連で2回開かれた禁止条約の制定交渉会議に出席し、スピーチで核使用の非人道性を訴えた。(田中美千子)

(2017年10月31日朝刊掲載)

年別アーカイブ