×

ニュース

ジュノーの精神 共感呼ぶ 広島のNPO制作のアニメ

 広島市東区のNPO法人などが作ったアニメ映画「ジュノー」が、セルビアの国際映画祭で特別賞を受賞した。原爆投下直後の広島に医薬品を届けたスイス人医師マルセル・ジュノー博士の姿が、旧ユーゴスラビアの解体に伴い、激しい内戦を経験した現地の人々の心を打った。

 映画祭「バルカニマ」が2~6日、首都ベオグラードであった。30カ国約150編が上映された。

 「ジュノー」は、少女2人がタイムスリップして人道主義を貫いたジュノー博士の生涯を目撃する物語。招待作品として上映された後、観客約120人の拍手がやまなかったという。入賞は欧州勢以外では初めて。

 旧ユーゴスラビアは1990年代、クロアチアやボスニア・ヘルツェゴビナなどが相次いで独立を目指し、紛争が相次いだ。民族間の和解はいまも課題になっている。

 映画制作の中心を担い、映画祭にも出席したNPO法人モースト(東区)の津谷静子理事長(57)は「憎しみを乗り越えたいという人々の願いを感じた。平和構築のため、被爆地発の映画の役割は大きい」と実感していた。今後も国内外で上映活動に励む。(教蓮孝匡)

(2012年10月11日朝刊掲載)

年別アーカイブ