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下関沖で洋上風力発電 前田建設工業15年度着工 国内最大級

 ゼネコン準大手の前田建設工業(東京)は2015年度、下関市沖の海上に、国内最大級となる出力6万キロワットの洋上風力発電所を着工する。投資額は約250億円。中国地方初の洋上風力発電となる。風力発電の適地は陸上では減っており、風が強く騒音なども問題になりにくい海上の利点を生かす。(東海右佐衛門直柄)

 下関市の村崎ノ鼻の西の沖合1~2キロに、高さ約130メートル、出力3千キロワットの風力発電機20基を設ける。15年度に10基を建設し、16年から順次稼働。16年度に残り10基を設置し、17年に全て稼働させる。

 一帯の海域は遠浅で風車の柱を海底に設置しやすく、強い風も安定して吹くという。来年度にも運営する特別目的会社を設立し、数社から出資を募る。投資額は220億~250億円。全て中国電力に売電する方針。今後、近隣の漁協との協議を本格化させる。

 前田建設工業は陸上の風力発電は手掛けてきたが、海上は初めて。「海上では騒音や振動など周囲への悪影響が少なく、安定した稼働を見込める」とする。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、中国地方の風力発電施設は11年3月末時点で141基。採算性、騒音、景観への影響をクリアする適地は減り、10、11年度の新設はゼロ。島根県内では景観を損ねるとして計画が変更されたり、住民が騒音被害を訴えたりするケースも出ている。

 国は近く「固定価格買い取り制度」に基づく洋上風力発電の売電価格を決める見通し。中国経済産業局は「漁業権の交渉や建設コストなどの課題をクリアできれば、計画が増える可能性もある」とみている。

洋上風力発電
 海上に設置した風車で発電する。陸上の風力発電は騒音や景観の悪化が課題になるが、洋上ではこれらの問題が少なく、風力は陸上より強い。一方で、漁業への影響を懸念する声があるほか、建設費が高くなる課題がある。風車の土台を海底に置く着床式と、海面に浮かべる浮体式がある。

(2012年10月12日朝刊掲載)

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