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不動院金堂 大規模修理へ 広島、24年ぶり

 広島市内唯一の国宝で原爆による大きな被害を免れた不動院金堂(東区)が15日、24年ぶりとなる大規模な修理工事に入る。薄い板を重ねたこけらぶきの屋根を全面的にふき替えるなど、完了まで2年がかりの工事になる。

 工事は風雨で劣化した屋根をふき直すほか、天女や竜の絵が描かれた天井絵の色落ち防止、金堂周囲への排水溝整備などをする。2014年8月に終了予定。前回の大規模修理は1986年10月~88年2月にあった。

 金堂に隣接する国の重要文化財の鐘楼も、ことし2月から修理している。金堂を含めた全体の事業費は2億4千万円。大半を国と広島県、市が補助する。

 金堂は戦国大名の大内義隆が山口県内に建立し、16世紀後半に現在地へ移築されたと伝えられる。中世に建てられた国内の禅宗様仏殿の中でも最大規模の木造建築。1958年、国宝に指定された。

 不動院は爆心地から3・9キロにあり、原爆投下直後、救護所の役割も果たした。金堂や鐘楼などは広島市の被爆建物に登録されている。麻生弘融副住職(24)は「先人から引き継いだ大事な文化財。伝統を守り、後世に引き継ぎたい」と話している。(田中美千子)

(2012年10月12日朝刊掲載)

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