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毒ガス被害 伝え続ける 大久野島で死没者慰霊式

 竹原市忠海町の大久野島にあった旧日本陸軍の毒ガス工場の被害者を悼む死没者慰霊式が2日、島内の慰霊碑前であった。被害者8団体と周辺の8市1町でつくる大久野島毒ガス障害者対策連絡協議会が主催した。

 被害者と遺族合わせて約160人が参列した。連絡協の神明正明副会長(85)が、この1年間に亡くなった64人の名前を加えた3861人の死没者名簿を慰霊碑に奉納。黙とうして花を手向けた。

 工員として毒ガス製造に従事させられていた伊藤大二さん(93)=大阪府吹田市=は「化学兵器は子どもや女性にも危害を及ぼす。これ以上製造させないよう、恐ろしさを伝え続けたい」と話した。

 県によると、国の健康管理手帳を持つ被害者は平均89・2歳(10月1日現在)。連絡協は9日、財務省と厚生労働省を訪ね、医療費手当の拡充や島の遺跡保存を求める要望書を提出する。(山田祐)

(2017年11月3日朝刊掲載)

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