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オバマ氏広島訪問…増える証言者 在米被爆者のビデオ制作へ 追悼祈念館 職員派遣

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)は6~10日、米国に住む被爆者の証言ビデオ制作のため、初めて同国に職員を派遣して収録する。昨年のオバマ前米大統領の広島訪問を受けて、核超大国でも体験を語る被爆者が増えているとし、「この機会に多様な原爆被害の記録を後世に残したい」としている。

 証言者は、いずれもカリフォルニア州に住む、米国広島・長崎原爆被爆者協会の更科洵爾(じゅんじ)会長(88)、難波亘さん(90)、福島栄子さん(86)の3人。広島での被爆体験のほか、米国での暮らしぶりや苦労も語ってもらう。職員1人が赴き、現地で雇うカメラマンたちスタッフと収録を進める。

 同館は2007年度から毎年度、広島を訪れた在外被爆者の証言を収録。16年度までに51本のビデオを制作し、館内やホームページで公開している。近年は高齢化で訪問が減り、韓国在住者については14年度から居住地で撮影している。

 そうした中、オバマ氏の訪問を機に米国内で証言の機運が高まっていると同協会を通じて知り、職員派遣を決めた。福島さんも「オバマ氏が被爆者に寄り添う姿に胸を打たれた」と沈黙を破った一人だという。同館は「日系人特有の苦労から口をつぐむ人も多かった。貴重な証言になる」と期待している。3人のビデオは来年4月に公開する。(城戸良彰)

(2017年11月3日朝刊掲載)

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