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「平等な教育が平和もたらす」 ルワンダ女性 講演で訴え 広島

 NPO法人ルワンダの教育を考える会(福島市)理事長でルワンダ人のカンベンガ・マリールイズさん(47)が13日、広島市中区のRCC文化センターで講演した。部族対立などで100万人近い犠牲者が出た「ルワンダ虐殺」から逃れた経験を踏まえ、「平等な教育は笑顔と希望をもたらし、平和の実現につながる」と強調した。

 マリールイズさんは、ルワンダ虐殺が起きた1994年、隣国コンゴ(旧ザイール)に避難し、その後、再来日した。「たとえ貧しくても、皆が教育を受けることができていたら、内戦は起きなかったのではないか」と振り返った。

 教育を考える会を設立し、母国に学校を建設。厳しい現状などから「大人になるまで生きられない」と思っていた少年が、学校に通い始めたことで、教師になる夢を持つようになったことを紹介した。

 また、住んでいる福島市を襲った東日本大震災や原発事故にも言及。被災者を励ますためルワンダの子どもたちから届いた千羽鶴を持って仮設住宅を訪問しているという。「子どもたちが放射線におびえることなく、安心して暮らせるようになってほしい。過去は変えられないけど、希望は取り戻せる」と訴えかけた。

 講演会は、広島県ユニセフ協会(中区)が主催した、教育の重要性を考える集いの一環。約40人が聞き入った。(増田咲子)

 ≪略歴≫1965年10月、ルワンダ人の父母が当時住んでいたコンゴ(旧ザイール)で生まれる。86年9月、ルワンダの首都キガリの専門学校に洋裁の教師として赴任。93年5月、青年海外協力隊の現地協力員として洋裁の研修を受けるため福島市へ。94年2月、帰国。「ルワンダ虐殺」の発生で隣国に逃れ、さらに、同年12月、日本の友人らの尽力で夫や子ども3人と一緒に再来日。2000年、「ルワンダの教育を考える会」を設立した。福島市在住。

(2012年10月16日朝刊掲載)

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