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「原爆文学と復興」テーマに研究 米教授が本紙報道調査

 広島で被爆した作家原民喜らを研究している米オービリン大(オハイオ州)のアン・シェリフ教授(日本文化)が、原爆文学と広島の復興との関わりについての論文執筆に取り組んでいる。関連資料の収集や聞き取りを重ねるため、広島を再三訪問。年内完成を目指している。

 準備を始めた2010年夏から4度目となる今秋の訪問では、中国新聞の関連報道を主に調べた。特に、原爆文学を積極的に紙面で取り上げた元論説主幹で原爆報道の礎を築いた故金井利博氏(1914~74年)の役割。広島大文書館(東広島市)に寄贈された、金井氏が文学者と交わした書簡などを読み込み、功績について関係者に聞いた。

 金井氏が、文化人の連携を深め原爆関係の資料を収集した広島ペンクラブ設立(49年)に奔走するなど、言論を通してだけではなく、行動したことも追跡調査した。

 シェリフ教授は「核兵器廃絶や被爆者支援に向けた世論を高めようと、広島の作家を積極的に支援した金井氏の役割の重要さがより分かった」と強調。原爆文学が精神面で広島の復興に役立ったとの分析を踏まえて、論文をまとめるという。(増田咲子)

(2012年10月16日朝刊掲載)

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