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やけど被爆者写真 最初に 原爆資料館本館 来夏リニューアル 展示案、有識者会議了承

 原爆資料館(広島市中区)は7日、展示見直しに助言する有識者会議を広島国際会議場(同)で開き、来年7月にリニューアルオープンを予定する本館の展示内容の最終案について了承を得た。来館者が本館で最初に見る壁面展示では、やけどを負った被爆者の写真を引き伸ばして掲げる方針。核兵器が人間にもたらした被害に焦点を当て被爆の実態を浮き彫りにする。

 委員11人のうち10人が出席。資料館側は「多くの説明を必要とせず人間の悲惨な状態を表している」として、大やけどを負って広島赤十字病院(現中区)のベッドに横たわる男性(故人)の写真を縦2・4メートル、横3メートルほどの壁面展示に使うと説明した。原爆による広島の惨状を克明に収めた写真家、菊池俊吉さん(1916~90年)が撮影した1枚。

 委員の1人は、男性が中国軍管区兵器部所属の兵士だったことから「被害者を代表する写真としては疑問がある」と指摘。一方、「兵士でも負傷後は守られるべきだ。なぜ兵士なのかという批判があっても、説明できればいい」との意見があった。資料館側は「写真は表情も含めて印象的。多くの候補から絞っており、これで進めたい」と理解を求め、委員から代替の写真が提示されない限り採用する方針でまとまった。

 委員からは生々しい写真や資料から来館者が受ける衝撃を懸念する声も出た。資料館側は「万人受けの展示はできない。被爆の実相を理解してもらう趣旨であえて出す」と注意書きなどで対応する考えを示した。

 このほか本館では、犠牲者が身に着けていた学生服やかばんなどを集めて展示したり、風圧で破壊された扉などの大型資料を並べたりする。(野田華奈子)

(2017年11月8日朝刊掲載)

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