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新作映画完成 次作にも意欲 大林監督 東京で会見

 尾道市出身の映画監督、大林宣彦さん(79)が9日、新作「花筐(はながたみ)」の12月16日公開を前に、東京都千代田区の日本記者クラブで会見した。肺がんで一時は余命宣告を受けながら完成させ、次作への意欲も語った。

 「花筐」は檀一雄の短編小説が原作。大林監督はデビュー前に脚本を書き、構想から40年を経て実現させた。太平洋戦争が迫る時期の佐賀県唐津市を舞台に、自分らしく生きたいと願った男女の青春を描く。

 「(試写を見た)若者たちが、戦争は過去ではなく、これから始まるものとして受け止めてくれた」と手応えを語った。

 昨年8月の撮影開始直前に肺がんが判明。「余命3カ月」と告げられたが、抗がん剤治療で回復に向かい、撮影を続けた。「映画化の許可をもらった時、檀さんは肺がんで病床にあった。同じ病気になり、原作の痛みを描く資格がもらえたと前向きに捉えた」と振り返った。

 「130歳まで映画を撮り続けたい」「私なりに原爆を見つめたい」とも。次作について「永遠に残る一つの作品をと、小さいが確固とした意志を抱いている」と語った。(西村文、武内宏介)

(2017年11月10日朝刊掲載)

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