×

ニュース

ツルブで戦死 小林喜三さんの愛 激戦地から息子へ44通 因島 23日絵はがき展開幕

 第2次世界大戦中に太平洋の島で戦死した日本人兵士小林喜三さんが、下関に残した息子の征之祐さんに送り続けた絵はがきを紹介する企画展「ツルブからの手紙」が23日から、尾道市因島中庄町の中庄公民館で開かれる。今年3月に76歳で死去した征之祐さんをしのぶ追悼展として、喜三さんの本籍地因島で開く。(田中謙太郎)

 下関市出身の喜三さんは1940年、備後地方の陸軍歩兵第41連隊に配属。44年1月、激戦地となったニューブリテン島(現パプアニューギニア)のツルブで28歳で戦死した。

 幼い征之祐さん宛てに、喜三さんは戦地から軍事郵便で絵はがきを送り続けた。戦地での暮らしぶりや子の成長を願う思いを、動物や子どもの絵を交えてコミカルに表現。その数は44通に上る。

 征之祐さんを取材したフリーライター井手久美子さん(66)=下関市=が2007年から、各地で絵はがきの展示会を開いてきた。征之祐さんも講演などで喜三さんへの思いを訴えてきた。井手さんは「物心つく前に死別した父の姿を、最後まで追い続けていた」と振り返る。

 征之祐さんの死を受け、有志による実行委員会が追悼展を企画。喜三さんの本籍地で、征之祐さんの生誕地でもある因島を選んだ。因島出身の父が41連隊に所属していた、大学職員宮地弘さん(65)=広島市東区=が主導する。宮地さんは「悲惨な戦争の中で育まれた親子愛を伝えたい」と呼び掛けている。

 展示会は無料で、27日まで。午前9時~午後5時(23日は午後1時開始)。23日午後1時半からは井手さんの講演もある。実行委☎090(4440)0911。

(2017年11月11日朝刊掲載)

年別アーカイブ