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島根原発 30キロ圏内 福祉施設に避難計画要望 県が説明会

 島根県は16日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)30キロ圏にある249の社会福祉施設に、原発事故の発生に備えた避難計画を11月中に作成するよう要望を始めた。事故情報の収集方法や職員の役割分担をあらかじめ定めてもらい、迅速な避難につなげる。(樋口浩二)

 県は施設の入居者について、県内外のホールや公民館にいったん避難させた後、中国、関西、九州地方の施設や旅館に逃げてもらう計画。ただ避難時の交通手段、避難所でのケア人員の確保など課題は多く「国の支援なしではスムーズな避難は難しい」という。

 この日は、計画作成の参考として作ったガイドラインの説明会を松江市で開催。30キロ圏の114施設の職員計約100人が参加した。18日も出雲市で残りの施設を対象に説明会を開く。

 ガイドラインによると、避難計画では職員を指揮班▽情報収集・伝達班▽避難誘導班―に分類する。たとえば情報収集・伝達班は県、市が発する事故情報を素早く入手し、非番の職員や入所者の家族に伝える。

 出席者からは「避難先でのケアは職員が24時間態勢で付き添うのか」などと心配する声が相次いだ。島根原発から約13・5キロの同市古志原で特別養護老人ホームを経営する上口福祉会の安部利博理事長(57)は「大半の入所者は自力避難が困難。福祉車両を回すなど行政の助けが欠かせない」と話していた。

(2012年10月17日朝刊掲載)

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