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折り鶴交換 絵本で発信 米の児童作家ディシコさん、活動題材に 禎子さん本も執筆

 米国カリフォルニア州の児童絵本作家スー・ディシコさん(58)が、世界の子どもに折り鶴を交換してもらう活動を題材にした英語の絵本を米国や日本などで出版した。広島で原爆に遭い、回復を願う折り鶴を作りながら白血病で亡くなった佐々木禎子さんの本も共同執筆中。「広島の平和への願いを世界へ広めたい」と話す。(森戸新士)

 ディシコさんは2013年、各国の小中学生に呼び掛け、平和を願う折り鶴を作って交換してもらうプロジェクトを始めた。ディシコさんが中心となって運営するインターネットサイト(https://peacecraneproject.org)を介し、希望者や学校が連絡を取り合う仕組み。150カ国以上の約200万人が参加している。

 絵本は9月に出版し、タイトルは「Origami PEACE CRANES(折り紙 平和の鶴)」。転校に不安を抱く少女が折り鶴の交換を通じて友情を広げる物語を紡いだ。ディシコさんは「日本の子どもにも読んでもらい、世界中で鶴が平和のシンボルだと再認識してほしい」と期待する。

 ディズニーアニメのイラストレーターなども務め、芸術や友情を描いた絵本約20点を出版してきたディシコさん。折り鶴プロジェクトは、米国の小学校で児童ら26人が犠牲になった12年の銃乱射事件を受け、子どもでも簡単に作れる折り鶴の交換を通じて平和を願う心を育もうと始めた。

 禎子さんの本も英語の小中学生向け。禎子さんの兄雅弘さん(76)との共同執筆で、来年8月6日までの出版を目指している。ディシコさんは今年7月に広島を訪れ、禎子さんが通った広島市中区の幟町小や原爆資料館を見学した。「折り鶴と禎子さんの物語を正確に発信し、平和を願う気持ちで世界の子どもたちをつなげたい」と願う。

 絵本はチャールズ・イー・タトル出版(東京)が刊行し、1512円。

(2017年11月16日朝刊掲載)

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