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土ぼこりの影響調査 広島原爆の内部被曝 試料採取へ

 広島原爆によって放射能を帯びた土ぼこりによる内部被曝(ひばく)の影響を探る調査に、広島大の星正治名誉教授(64)=放射線生物・物理学=が乗り出す。広島市内の各地の土のサンプルを基に、土ぼこりの拡散範囲の把握や放射線量の推計を目指す。

 現在の放射線リスクの評価は、原爆の爆発時の放射線量を基に導き出している。原爆の強い中性子線を浴びた土などは放射能を帯びるが、吸い込んだ土ぼこりによる内部被曝は考慮されておらず、人体への影響も未解明な部分が多い。

 調査は11月、爆心地から1キロ以内の数カ所で土の試料を採取。特殊な機械を使って地表から深さ0・2~1センチまで、各ポイントごとに数種類を集める。各試料に含まれる粒子の大きさを分析し、当時の飛散状況をシミュレーションする。エリアごとに、土ぼこりによる内部被曝線量の推計も試みる。

 星氏は本年度中に調査結果をまとめる方針でいる。「爆心地から離れた場所でも、爆心地近くにいた人と同様に脱毛や下痢などの症状に見舞われたケースもある。爆発時の初期放射線量だけで説明することは難しく、内部被曝の影響を追究する必要がある」と話している。(田中美千子)

(2012年10月19日朝刊掲載)

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