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被爆建物を商業施設に 旧広島港湾事務所 広島県、出店事業者公募へ

 明治期の木造洋館で被爆を乗り越えた広島市南区宇品海岸の旧広島港湾事務所を、管理する広島県が商業施設などとして活用することを検討していることが18日、分かった。保存しながらの利用を条件に、出店を希望する事業者を公募する。(村田拓也)

 旧港湾事務所は1909(明治42)年、広島水上警察署として建てられた。木造2階建て延べ約360平方メートル。被爆したが、爆心地から4・6キロ離れ、倒壊を免れた。

 戦後は、県が81年まで港湾事務所として利用。その後は書庫として活用し、93年に市の被爆建物に登録された。老朽化が進み、2010年から空き物件となっている。

 一方、近くにある県営の空き倉庫やその跡地ではカフェやインテリアショップ、結婚式場が相次いで開店。県は昨年9月、この一帯を「宇品デポルトピア」と名付け、アピールしている。

 県は旧港湾事務所も商業施設などとして需要が見込めると判断。保存と活用の両立を検討することにした。売却か貸し出しかなどの活用方針を年内に決め、事業者の公募手続きに入る。

 旧港湾事務所は戦前の木造官庁舎の特徴を伝え、98年の県教委の報告書「県の近代化遺産」で「広島市に現存する唯一の明治の木造洋館で価値が高い」と評価された。

(2012年10月19日朝刊掲載)

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