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岩国9機飛来 市民「事実上の移転か」 情報少なく地元を翻弄

 米海兵隊岩国基地(岩国市)へ空母艦載機のFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機など9機が相次いで到着した24日、騒音や事故を懸念する市民の間には「事実上の移転」との受け止めが広がった。艦載機運用を巡る米軍の一方的な通告と情報の少なさに、国や地元自治体も翻弄(ほんろう)され続けている。

 9機は午後1時半から約30分間に着陸、駐機場に並んだ。移転反対派の市民団体はこの日、滑走路を見渡せる基地北側の堤防道路で抗議集会を開催。実行委員会の岡村寛代表(74)=岩国市牛野谷町=は「低空飛行や事故など、市民生活への影響が心配だ」と話した。

 「このまま居座るのではないか。さらに爆音を押し付けられたくない」。岩国爆音訴訟の原告、廣中清太さん(73)=同市門前町=はこの日、広島高裁であった控訴審の口頭弁論後に訴えた。

 米海軍厚木基地(神奈川県)から岩国基地への艦載機移転。8月の移転開始以降、国や自治体は米軍優先の運用に振り回され続けている。今回の飛来でも中国四国防衛局は23日、「スーパーホーネット15機程度が来る予定」と岩国市や山口県に説明したが、実際の飛来機数は少なく、別機種も含まれていた。

 22日に東京・沖ノ鳥島沖で墜落したC2輸送機の同型機は10月11日、岩国基地に飛来した。飛来当日に同基地から市にあった連絡は「配備ではなく、一時的な飛来」との内容。理由は説明されなかった。結局、1カ月以上にわたって同基地を拠点に活動し、頻繁に離着陸を繰り返した。

 9機の飛来を受け同市の福田良彦市長は「移転時期などについては、防衛局から改めて説明があると考えている」とのコメントを出した。一方、防衛局は現時点で「空母や厚木基地に戻るのか、岩国に残るのか不明。情報がない」とする。(松本恭治、久保田剛、明知隼二)

(2017年11月25日朝刊掲載)

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