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トイレ予定地に被爆遺構 平和公園 広島市が入札中止 焦げた地面や墓石か

 広島市が平和記念公園(中区)内の原爆ドーム近くに整備を予定している公衆トイレの建設現場から被爆直後の地面などの遺構が出現したことが24日、分かった。市は建設工事の入札を中止。詳しく調査する方向で検討している。

 現場はドーム南東で国の史跡と名勝の指定区域。被爆前は旧細工町にあった西向寺の敷地内だったとみられる。市によると、8月下旬に植えてあった樹木を移植。9月20日、工事前の試掘調査をした結果、地下約40センチに焦土化した灰色の土や墓石とみられる石などの遺構の存在を確認したという。現在は土を埋め戻し、更地の状態になっている。

 判明後、市は予定していた建設工事の一般競争入札を急きょ中止。本年度内を見込んでいたトイレの完成は遅れる可能性が高い。遺構の本格調査に入れば本年度末まではかかるとみており、市公園整備課は「トイレは来年8月6日の平和記念式典後に造り始める流れになる」との見方を示す。

 園内には5カ所に公衆トイレがあり、うち4カ所を市は建て替える計画。外国人観光客にも使いやすいよう、洋式化を進めている。すでに2カ所が完成。韓国人原爆犠牲者慰霊碑そばに新築した1カ所は事前調査で何も出現せず、原爆資料館東館北側の1カ所は現地建て替えをしている。

 同課は「文化財の担当課と話しながら慎重に作業をしたい」としている。園内では耐震改修を進めている原爆資料館本館の敷地から被爆遺構が出土している。(渡辺裕明)

(2017年11月25日朝刊掲載)

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