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艦載機第2陣 移転 異例の日曜通知 反対派「事後報告だ」

 米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転について26日、中国四国防衛局が地元自治体に「27日ごろから」の移転日程を伝えた。異例の日曜日の通知は、米軍からの情報の少なさに加え、国や地元自治体がぎりぎりまで事実確認できない現状を映す。艦載機のC2輸送機墜落事故に伴い、既に同基地に飛来した11機も27日以降に「移転」と見なす内容。移転反対派の住民たちは「事実上の事後報告だ」と批判を強めた。(久保田剛、馬上稔子、藤田智)

 福田良彦市長に面会した中国四国防衛局の赤瀬正洋局長によると、第2陣の移転日程を知らされたのは「この週末」。市側も同局から説明があると聞いたのは25日午前だった。さらに米軍の説明は、25日までに相次いで岩国基地に飛来したFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機8機、EA18Gグラウラー電子戦機3機を、次の機体が到着した日をもって「移転」と取り扱うとの内容だった。

 「部隊の運用や機材の状況を踏まえて米軍が判断する」。米側からの通告に赤瀬局長は理解を示す。福田市長は「C2墜落事故は、住民に多大な不安や懸念を与え、極めて遺憾」としながらも、「なし崩し的な移転とは受け止めていない。運用上の理由と理解した」と話し、騒音や安全対策の徹底を繰り返し求めた。

 ただ、米軍が8月に発表した内容と防衛省の説明が食い違っていたグラウラーの移転時期に関し、同省は26日にようやく軌道修正。山口県庁を訪れた同防衛局の宮川均企画部長は、報道陣に「米軍とコミュニケーションは取れているのか」と問われると「米側も運用上の都合があり、このようなタイミングになったと思う」。27日以降の同基地への飛来機数についても「情報がない」と繰り返した。

 岩国市役所前ではこの日、基地の機能強化などに反対する市民たちが集会を開いた。「艦載機移転反対」などと声を上げ、基地正門近くまで約2キロをデモ行進した。

 真新しい米軍家族住宅が並ぶ愛宕山地区に近い同市南岩国町の落合紀久子さん(69)は「直前の通知で怒りしかない。米軍機の事故が相次ぐ中でも国や市は米軍の言いなり。市民の安心、安全を本当に守れるのか」と憤った。

 一方、移転に理解を示す村中良雄さん(75)=同市元町=は「米軍に関わる情報を得るのは難しいのだろう」と話す。「最近は米軍機の事故が目立つ。安心、安全に関わる情報をできる限り集めて市民に知らせてほしい」と求めた。

(2017年11月27日朝刊掲載)

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