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核軍縮 広島から提言へ 「賢人会議」が開幕

 核軍縮進展の方策を探る外務省の「賢人会議」第1回会合が27日、2日間の日程で広島市南区のホテルで始まった。段階的な核軍縮を唱える核保有国、核兵器禁止条約を支持する非保有国の双方から専門家や元外交官ら9カ国の15人が出席。来春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第2回準備委員会までに、短期、中長期の課題と取り組みの提言をまとめる。

 冒頭、日本政府が禁止条約交渉に不参加を決めた当時の外相で、賢人会議を提唱した自民党の岸田文雄政調会長があいさつ。「保有国を動かさなくては現実は動かない。核兵器のない世界へ、立場の違う国が協力するきっかけをつくりたい」と述べた。

 会合には16人の委員のうち、座長の白石隆・前政策研究大学院大学長、小溝泰義・広島平和文化センター理事長、朝長万左男・日赤長崎原爆病院名誉院長、リントン・ブルックス元米エネルギー省核安全保障局(NNSA)長官らが出席。中国の沈丁立・復旦大教授は欠席した。

 議論は非公開。外務省によると、現状認識に関し、今年7月に国連で制定された禁止条約を肯定する立場の委員は、核使用の非人道性を背景に条約ができた経緯を評価し、核軍縮に生かすべきだと主張。これに対し、別の委員は北朝鮮やイランの核問題など、軍縮を進める上での安全保障環境の厳しさを指摘した。ほかに、核兵器をどこまで減らせば核抑止政策から転換できるかについて議論したという。

 会議に先立ち、出席者は平和記念公園(中区)を訪れた。代表して、白石氏とブルックス氏が原爆慰霊碑に献花。原爆資料館に移り、被爆者の小倉桂子さん(80)=中区=から原爆投下直後の広島の惨状や、核兵器廃絶への願いを英語で聞いた後、館内を見学した。(水川恭輔、城戸良彰)

(2017年11月28日朝刊掲載)

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