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騒音・事故 増す不安 艦載機第2陣 岩国や西中国山地

 米軍岩国基地(岩国市)で28日に始まった厚木基地(神奈川県)からの空母艦載機第2陣の移転。艦載機の主力、FA18スーパーホーネット戦闘攻撃機の飛来は、岩国が極東最大級の米軍基地となる現実を改めて突き付けた。「騒音や事故が増すのではないか」―。地元岩国市や、訓練空域がある西中国山地の山あいに懸念の声が広がった。

 岩国基地の滑走路を見渡せる今津川沿いの堤防道路。報道陣や航空ファンら約50人がずらりと並び、着陸するたび、シャッター音が響いた。米軍の公式サイトにはこの日、到着したパイロットに子どもが駆け寄る写真が掲載され、既に隊員家族が岩国に移り住んでいることをうかがわせた。

 厚木基地周辺の騒音被害の主因だったスーパーホーネット。「騒音がひどくなれば、生活できなくなるかもしれない」。岩国市由宇町に住む全盲の鍼灸(しんきゅう)師森本健一さん(56)は今後の暮らしへの不安を口にした。

 一方、岩国商工会議所の長野寿会頭は、この日の記者会見で「市民への影響が最小限で済むように進めてほしい」としつつ、歓迎した。「1万人を超えるとされる基地人口の増加を、いかに地域の経済活性化に結びつけるかだ」

 ただ、騒音や事故の増加への懸念は県境を越えて広がる。「抜本的に騒音をなくすには飛行訓練をやめてもらう必要がある」。島根県西部の5市町でつくる米軍機騒音等対策協議会の会長を務める久保田章市・浜田市長は言い切った。

 10月、岩国基地所属の米軍機による火炎弾「フレア」射出訓練が目撃された広島県北広島町。同町八幡地区の小笠原幸信・区長会長(62)は「国は低空飛行訓練の中止、情報公開を米側に求めてほしい」と訴えた。同県の湯崎英彦知事はこの日の定例会見で「事前に移転の情報提供はなかった」と述べ米軍と日本政府の情報公開の在り方に疑問を投げ掛けた。

 岩国市の福田良彦市長は報道陣の取材に、従来の見解を繰り返した。「騒音問題など市民の不安を払拭(ふっしょく)できるよう国との協議も継続する。国や米軍に言うべきことは言っていきたい」

着陸直後の1機 タイヤから白煙

 28日午前11時5分ごろ、米軍岩国基地に着陸直後の空母艦載機FA18スーパーホーネット1機のタイヤから白煙が上がるトラブルがあった。在日米海軍司令部は、ブレーキパッドが加熱した影響としている。

 同司令部などによると、この機体は厚木基地から同日、移転した15機のうちの1機。着陸後、左後輪付近から白煙を上げて走行し、一時停止。待機していた消防車両が急行した。同司令部は、消防車両を向かわせたことについて「(火災の)予防的措置のため」と説明している。

 艦載機は空母に着艦する際、機体に付いたフックを空母艦上のワイヤに引っかけて止まり、機体本体のブレーキは使わない。このためブレーキパッド周辺にたまったほこりなどが燃えた可能性があるという。

(2017年11月29日朝刊掲載)

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