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反核 「保有国」で手応え 被爆者4人 イスラエル訪問報告

 事実上の核兵器保有国とされるイスラエルを9月に訪れ、被爆体験を証言した広島の被爆者4人の帰国報告会が今月15日、都内で開かれた。安全保障のため核兵器保有を選ぶ国の厳しい現実を感じる一方で、核の悲惨さを訴え続ける大切さを伝えたと強調した。(岡田浩平)

 4人は1~16歳で被爆し、今は首都圏に住む。各国での被爆証言に取り組む非政府組織(NGO)ピースボートが派遣し、外務省も「非核特使」に任じた。現地のNGO「イスラエル軍縮運動」の受け入れで9月10~16日に滞在し、3都市で証言会を開いた。日本被団協によると、同国での本格的な証言活動は初めてという。

 約30人が集まった報告会で、三宅信雄さん(83)=埼玉県志木市=は、証言後に拍手が湧いたことを挙げ、訴えへの手応えを口にした。半面、地元メディアから核保有の是非に関して質問を浴びたことが強く印象に残ったとし、「中東の核問題の厳しさを感じた。核抑止論は妄想だと強調してきた」と述べた。

 永山巌さん(69)=千葉市花見川区=は、地元の参加者が「イスラエルから核兵器をなくすべきだ」と公然と発言したのに驚いたと言い、「平和を願う気持ちは強いとしみじみ感じた」。土田和美さん(72)=埼玉県草加市、杉野信子さん(68)=東京都世田谷区=も、現地訪問を通じて平和の尊さを実感したと訴えた。

(2012年10月22日朝刊掲載)

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