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沖縄戦跡 命の重み 広経大生ら元学徒隊員の証言DVD制作

現場歩き継承

 沖縄県で戦争体験の聞き取りなどの活動を続ける広島経済大(広島市安佐南区)の岡本貞雄教授のゼミの学生たちが制作する元白梅学徒隊員の中山きくさん(89)=那覇市=の証言DVDが近く完成する。希望者に無料で配り、戦争の悲惨さと命の尊さを伝える。(野田華奈子)

 岡本ゼミでは2007年から毎年、学生が沖縄県内の戦跡を巡り、元女子学徒たちの証言を記録。活動を通じて、県南部の野戦病院で傷病兵の看護に従事した中山さんと親交を深め、証言のDVD化を打診した。

 収録は15年2月。沖縄戦の爪痕が残る現場で話を聞くことにこだわった。中山さんが配置されていた手術場壕(ごう)跡、砲弾や機関銃掃射を受けて逃げ惑い、自決を思いとどまった場所…。10カ所で当時を振り返り「二度と戦争のある人生を歩んでほしくない」などの思いを聞き出した。今年に入り、逸見修太さん(22)や野村和己さん(22)たち4年生を中心に編集作業を本格化。約2時間40分にまとめた。

 収録に立ち会った渡辺優気さん(22)は昨夏以後、広島県内の中学や高校に呼ばれ、中山さんの体験を伝えている。「生々しい証言は重たかったが命を考えるきっかけになった。つらい体験を繰り返してほしくないという中山さんの願いを受け継ぎたい」と話す。

 500枚を制作。沖縄県内の中学、高校のほか希望者に配る。岡本ゼミ研究室☎082(871)1476。

(2017年11月29日朝刊掲載)

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