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核軍縮の現状「不満足」 広島の「賢人会議」閉幕

 核軍縮進展の方策を探る外務省の「賢人会議」第1回会合は28日、広島市南区のホテルで2日間の日程を終えた。白石隆座長(前政策研究大学院大学長)は「(核軍縮の)現状に不満足で、良い方向に持って行きたいという広範な合意はある」と総括した一方、核兵器禁止条約や核抑止政策を巡る隔たりも指摘。来年3月に次回会合を開き、急ぐ取り組みを提言にまとめる考えを示した。

 段階的な核軍縮を唱える核保有国と、禁止条約を支持する非保有国を含む9カ国15人の専門家が非公開で議論。終了後に記者会見した白石座長によると、核の安全保障上の役割を減らす「核の先制不使用」や、保有国が禁止条約加盟前に締約国会議へオブザーバー参加する方法などについて提案があったという。

 「立場の違う国の共通基盤の模索が一番。合意へ強い意志があった」と振り返る一方、「(二つの立場とも)相手を説得するためにまだまだ考えないといけない問題がある」と述べた。

 委員の1人で、広島平和文化センターの小溝泰義理事長は終了後、「立場の違いがありながら率直な議論ができた」と話した。会議は今後、事務局がまとめる草案への意見を募り、来年3月に議論を詰める。

 ノーベル平和賞を受ける非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))の川崎哲(あきら)・国際運営委員は会議委員との意見交換後、記者団に「少なくとも禁止条約の価値を認め、保有国が長期的でも関わるべきだとの提言を」と求めた。(水川恭輔)

(2017年11月29日朝刊掲載)

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