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通信使友好の歴史学ぶ 韓国の大学生 呉市下蒲刈・福山市鞆を訪問

 韓国の大学生30人が30日、朝鮮通信使の寄港地だった呉市下蒲刈町と福山市鞆町を訪れた。通信使の関連資料が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録されたのを記念した訪日事業で、友好の歴史をたどった。

 呉市下蒲刈町の松濤(しょうとう)園では、登録された絵巻物「朝鮮人来朝覚備前御馳走船行烈図(ごちそうせんぎょうれつず)」や、振る舞われた料理の模型などを見学。学芸員から手厚くもてなされたことなどを学んだ。上陸に利用された福島雁木(がんぎ)や弘願寺も訪れた。

 高麗(コリョ)大1年の韓洙玟(ハン・スミン)さん(19)は「交流の歴史が分かる貴重な資料で勉強になった。現在や未来の日韓関係を考えるのに役立つ」と話していた。

 福山市鞆町では国重要文化財の保命酒商家、太田家住宅や鞆の浦歴史民俗資料館などを巡った。福禅寺対潮楼では、通信使が「日東第一形勝」とたたえた景色を写真に収めて楽しんだ。

 地元住民たちが、通信使とゆかりの深い鞆町の歴史や、伝統的な町並みについて解説すると熱心にメモを取った。慶北(キョンプク)大2年の張程晥(チャン・ジョンハン)さん(23)は「日本のことをもっと知り、両国の親睦を深めていきたい」と話していた。

 事業は韓国・釜山市の国立海洋博物館が平和交流の意義を次世代に伝えるために企画。11月28日に同市を出発し、通信使の航路に沿って寄港地を巡っている。12月2日に京都で日程を終える。(今井裕希、川村正治)

(2017年12月1日朝刊掲載)

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