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核禁止条約巡り討議 広島 国連軍縮会議が閉幕

 広島市中区での国連軍縮会議は30日、国連で7月に制定された核兵器禁止条約に焦点を当てた討議をした。条約交渉会議の議長を務めたコスタリカのホワイト駐ジュネーブ国際機関代表部大使らが核兵器廃絶への意義を説く一方、専門家から核保有国や「核の傘」に頼る国をどう巻き込むかを課題視する意見が出た。2日間の日程を終え、閉幕した。

 条約の討議に登壇したホワイト氏は「条約は核兵器を戦争、安全保障の手段にするのを拒絶している。核時代の終わりの始まりだ」と述べ、各国の批准と早期発効の重要性を強調。オーストラリア・メルボルン大社会政治学院のフィンドレイ氏は核兵器を悪とする規範の効果を期待しつつ、核抑止力に頼る国の「安全保障の懸念」に答える議論が十分でないと指摘した。

 会場の出席者からは核廃棄を検証する具体策が未定の点を挙げ、北朝鮮の非核化実現への効果を問う声も。この点に対し、非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))の川崎哲・国際運営委員は「禁止条約だけでなく、核拡散防止条約(NPT)の問題でもある」と反論。共通課題として検証措置を考える必要性を訴えた。

 閉幕後の記者会見で、国連の中満泉・軍縮担当上級代表(事務次長)は「禁止条約には異なる見方はあるが、各国が頭を一緒に使って究極的に役に立つ条約にしていこうとの提言があり有意義な議論だった」と総括。軍縮停滞の打開へ、国連加盟国の間で国連軍縮特別総会の開催の検討が進んでいると明かした。

 会議は2日間で12カ国・2機関から60人が出席。国連アジア太平洋平和軍縮センターが主催した。(水川恭輔)

(2017年12月1日朝刊掲載)

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