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島根原発 過酷事故時 南東24キロ内 避難線量

規制委予測 松江中心部に拡散

 原子力規制委員会は24日、中国電力島根原子力発電所(松江市)など全国の16原発で、東京電力福島第1原発のような過酷事故が起きた場合の放射性物質の拡散予測を公表した。避難の基準となる事故後1週間の積算被曝(ひばく)線量が100ミリシーベルトに達する高線量エリアは、松江市中心部を含み南東に24・2キロ離れた安来市まで及んでいる。(山本洋子)

 政府が過酷事故を想定して各原発の拡散予測図を公表したのは初めて。国際原子力機関(IAEA)が避難の判断基準とする100ミリシーベルトのエリアを示した。自治体が来年3月までに防災計画を見直す資料にする。島根県は対策拠点のオフサイトセンターが南東約9キロにあり、代替施設の選定にも影響する。

 島根原発では、100ミリシーベルトのエリアは陸上では南東の方角に広がる。一部は安来市に達し鳥取県境にも近い。

 予測は、各原発の全原子炉で炉心溶融など過酷事故が発生した場合などを想定。各原発の過去の風向きや風速など1年分の気象データを基に試算した。地形などの条件は反映していない。

 試算は既設原発が対象だが、原子力規制庁は「完成が近い」として島根原発3号機も含めた。規制委の田中俊一委員長は「最悪の事故が起きたらどのくらいの範囲で高線量エリアが広がるか、自治体が防災計画を準備する上での参考にしてもらいたい」と話した。

 規制委は、事前に事故に備える「原子力災害対策重点区域」の目安を原発の半径30キロ(現行10キロ)圏に拡大する方針。田中委員長は、予測結果を踏まえても重点区域は「30キロ圏で十分」との認識を示した。

(2012年10月25日朝刊掲載)

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