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在米被爆者の健診拡充 厚労省方針 派遣年以外も対応

 厚生労働省が2013年度、北南米の被爆者の健康診断事業を拡充する方針を固めたことが24日、分かった。現在は北米、南米にそれぞれ隔年で、厚労省の委託を受けた広島県が医師団を派遣している。高齢化した被爆者には「健診を毎年受けたい」との声が強いため、医師団を派遣しない年は現地の病院で健診を受け、国が費用を全額負担する形を想定する。

 厚労省は13年度政府予算の概算要求で、在外被爆者支援に計9億円を計上。その中に関連費用を盛り込んでいる。広島県が7~20日に南米5カ国に派遣した医師団は、現地の病院に厚労省の方針を伝え、日本から医師が来ない年も被爆者が健診を受けられる態勢づくりを要請した。

 同事業は1977年度に始まり、国が北米に隔年で医師団を派遣。南米も対象となった85年度以降は、医師団が原則年1回、北米と南米を交互に訪れる。北南米には約1200人の被爆者が暮らしている。

 ことしの健診を終え南米から帰国した広島県の医師団は24日、県庁で記者会見。66~99歳の計87人を診断し、病状が進行して手術が困難な胃がん患者を発見したことなどを明らかにした。有田健一総団長は「健診が毎年ならば早く発見できた可能性があった」と話した。(野崎建一郎)

(2012年10月25日朝刊掲載)

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