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[イワクニ 地域と米軍基地] 県交付金 年50億円に拡充 18年度方針 艦載機移転受け

 米軍岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転を踏まえ、国は山口県に支給している都道府県向けの交付金について2018年度、これまでの年約20億円から約50億円に増やす方針を固めた。国の18年度予算案に盛り込む見通し。19年度までとなっている支給期間も27年度までに延長する考え。

 都道府県向け交付金は現在、全国で山口県にだけ支給されている。政府関係者によると、年間支給額を増額した上で18~27年度の10年間に期間を延長する制度拡充は、米軍厚木基地(神奈川県)から空母艦載機61機が岩国基地に移転することで地元負担が増大することを考慮した。

 この交付金は現在、施設整備などのハード事業に使い道が限られている。山口県は、日米交流促進に向けた語学教育の支援や、中小企業育成支援、医療提供体制の充実などのソフト事業にも支出できるようにする制度改変を国に求めており、国も範囲拡大を検討している。

 山口県は3月以降、岩国基地が極東最大級の米軍基地になるとして交付金の拡充を繰り返し国に要望。対応した菅義偉官房長官たちは前向きに検討する姿勢を見せていた。政府は現在、18年度予算案とりまとめに向けて最終的な調整をしている。

 15年に創設された交付金は、航空機や人員が大幅に増える防衛施設がある自治体を対象とする。山口県への交付額は、15年度が18億5200万円、16年度が20億円。17年度予算案には20億1千万円を計上した。(野崎建一郎、武内宏介)

防衛施設の拡大に伴う都道府県向け交付金
 正式名称は、再編関連特別地域整備事業。在日米軍再編などによる影響が大きな地域への対策が目的。航空機40機以上の増加と、軍人など人員の千人以上の人口拡大が目安となる。充当する事業の実施地域は、防衛施設が所在する市町村とその周辺が原則。山口県への交付は当初、2015、16年度の2年間の予定だったが、19年度までに3年間延長されていた。

(2017年12月5日朝刊掲載)

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