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岩国基地 C2配備きょう以降 防衛局 「米軍の運用」

 米軍岩国基地(岩国市)へ厚木基地(神奈川県)から空母艦載機が移転する計画で、早ければ4日に移るとされた米海軍のC2輸送機は、同日夕までに岩国基地に到着しなかった。配備は5日以降になる。移転予定の2機のうち1機が11月に墜落事故を起こしたため、当面は1機の運用となる。(松本恭治、和多正憲、明知隼二)

 中国四国防衛局の赤瀬正洋局長たちは4日、岩国市役所と山口県庁を訪れ、福田良彦市長たちと面会。墜落事故後の対応として「徹底的なメンテナンス検査をし、技術上、整備上の問題がないことを確認した」とする米側の説明を伝えた。

 一方、事故の原因は「引き続き米側が調査中」と説明。当初は来年1月ごろとした移転時期が早まる理由については「米軍の運用状況や人員、機材の準備などの条件が整ったと考えている」とした。

 福田市長は面会後、報道陣に「説明を信じるしかない」としつつ、「事故から時間がたっていない中、もっと精査すべきではないかとの疑義もある」と苦言を呈した。村岡嗣政知事も「説明はおおむね理解できるが、迅速かつ丁寧にしてほしいと強く思う」と述べた。

 移転予定だったC2の1機は11月22日、岩国基地から空母ロナルド・レーガンに向かう途中、東京・沖ノ鳥島沖で墜落。搭乗員3人が行方不明となった。これを受け、防衛局は「C2の移転は米側が調整中」としていたが、今月3日、早ければ4日に移るとの米側の情報を県と市に伝えた。

「来年1月」を前倒し C2移転時期、当初説明と違い

 米軍岩国基地への空母艦載機移転で、国が当初説明したスケジュールと実際の移転状況に食い違いが目立っている。来年1月ごろとされたC2輸送機も、米側の運用上の理由で「早ければ今月4日」に前倒しされた。全体の移転完了は来年5月ごろとされているが、軍事専門家は「北朝鮮情勢によっては前倒しされる可能性もある」と指摘する。

 「具体的にいつ移転するかは、まさに運用事項。日米で全体を調整しているが、米側の事情を踏まえなければいけない」。4日、岩国市役所。中国四国防衛局の赤瀬正洋局長は報道陣から移転を巡る「混乱」への認識を問われ、早口で答えた。

 艦載機の移転予定を国が示したのは今年1月。早ければ7月にE2D早期警戒機5機▽11月ごろにFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機2部隊(24機程度)▽来年1月ごろにEA18Gグラウラー電子戦機部隊(6機程度)とC2(2機程度)▽同5月ごろに別のスーパーホーネット2部隊(24機程度)―との内容。ただ、4日までの移転状況は、予定と大きく異なっている。

 混乱の予兆はあった。2月、E2Dが岩国基地へ到着し、5月まで同基地を拠点に活動。当時、岩国市や山口県はまだ移転を容認しておらず、国は「配備前訓練」とした。

 一方、在日米海軍司令部(神奈川県横須賀市)は中国新聞の取材に「E2Dは2月に米本国から岩国へ拠点を移した」と回答。同機が8月9日に再び岩国に到着する際に「移転開始」とした国の説明と食い違っていた。

 さらに司令部は8月、第2陣のスーパーホーネットとグラウラーが「今秋」移ると発表、日本側とのずれが表面化した。結局、両機種の計11機が11月24、25日に飛来したが、日米ともに正式配備ではないと説明。しかし、同28日に他の15機が着くと、米側は11機も含めて26機を移転扱いに。国もこれを追認した。国は、第2陣の計約30機について今月1日までに完了したと公表している。

 C2が近く岩国に配備されれば、移転計画のうち残るのは来年5月ごろとされるスーパーホーネット2部隊だけ。軍事評論家の前田哲男氏は「残るスーパーホーネットが大幅な前倒しで移れば、半島有事に備えた展開と考えるべきだろう」と話している。(松本恭治、和多正憲)

<米軍岩国基地への空母艦載機移転を巡る動き>

機種(機数)    国の当初説明   移転状況
E2D(5機)   早ければ7月   8月9日に5機

スーパーホーネ   11月ごろ    11月28日に20機。
ット2部隊(2            12月1日までに完了
4機程度)

グラウラー     来年1月ごろ   11月28日に6機。
(6機程度)             12月1日までに完了

C2(2機程度)  来年1月ごろ   12月5日以降
スーパーホーネ   来年5月ごろ    ?
ット2部隊(2
4機程度)

(2017年12月5日朝刊掲載)

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