×

ニュース

原爆症認定 改正訴え 日本被団協など 厚労相「難しい」

 原爆症認定制度の在り方を話し合う、日本被団協などと厚生労働相との定期協議が4日、厚労省であった。被爆者側は制度の抜本的な改正を求めたが、加藤勝信厚労相は「実現は難しい」と折り合わず、被爆者側は失望をあらわにした。

 被団協や、原爆症認定訴訟の全国原告団と全国弁護団連絡会の役員たち計15人が、加藤氏と約1時間協議。各地から集まった被爆者約80人が傍聴した。

 弁護団連絡会の宮原哲朗事務局長は、認定申請を却下された被爆者が国を相手に裁判を起こし、勝訴した事例の多さを指摘。現行制度を廃止した上で、全ての被爆者に一定額を一律支給し、病気の程度に応じて加算する、被団協提案の新たな手当制度を創設するよう求めた。

 被団協の大岩孝平代表理事(85)たちが自らの被爆体験や病歴に触れ「残された時間は少ない」「被爆者側に立った制度の構築を」と訴えたのに対し、加藤氏は2013年12月に見直した認定基準を重んじる姿勢を強調。「運用で改善できないか引き続き検討する」と述べ、被団協案には否定的な発言を繰り返した。

 終了後、記者会見した被爆者側は「中身がない回答だった」「裁判をなくそうという気持ちが感じられない」と落胆していた。

 定期協議は集団訴訟の解決に向け、国と被団協が09年に交わした確認書に基づく。今回は1年ぶり6回目の開催となった。(田中美千子)

(2017年12月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ