×

ニュース

C2岩国移転前倒し 市町、安全性を懸念 「なし崩し」住民も批判

 米軍岩国基地(岩国市)へのC2輸送機移転の通知は、同基地に移転予定だった同型機の事故原因が究明されない中、当初スケジュールより前倒しとなった。4日、中国四国防衛局から説明を受けた地元自治体からは、説明不足への苦言やC2の安全性への懸念が相次いだ。米側の「運用上の理由」に左右される現状に、市民からも憤りの声が上がった。(馬上稔子、余村泰樹、藤田智)

 岩国市の福田良彦市長は中国四国防衛局の赤瀬正洋局長から説明を受けた。「来年1月ごろ」としていた移転時期の変更理由などが地元に知らされない現状に、福田市長は「米軍の運用という理由のみで、十分な情報提供がされないまま物事が進んでいると感じる」と苦言を呈した。

 また、移転するC2の安全性についても「米側が技術、整備の面で安全性が担保されるというなら信じるしかない」と、自治体側が判断材料を持たない現状を指摘。より積極的な情報開示を米側に求めるよう、赤瀬局長に要請した。

 村岡嗣政知事は県庁で報道陣の取材に応じた。11月下旬のFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機などの移転に続き、同防衛局からの説明が直前となったことに「時間に余裕を持って説明してほしい。それが地元の不安に寄り添うことにもなるはずだ」と述べた。

 周防大島町で同防衛局企画部の谷内誠次長と面会した椎木巧町長は「事故が多過ぎる。米軍に対し、性根を入れて安全運航の徹底を申し入れてほしい」と語気を強めた。一方、和木町の河内洋二副町長は「情報提供は素早くしてほしいが、米側の動きでどうにもできないのかもしれない」と国の立場を推し量った。

 移転に反対する住民は、米側や国、市の対応を批判した。市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の桑原清共同代表(78)は「原因究明が終わる前の飛行は、米国内ならあり得ないのでは。なし崩し的に当初の説明や日程が崩れており、市や国には強い態度で対応してもらいたい」と求めた。

(2017年12月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ