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原子力規制委 拡散予測公表 代替拠点の選定急務

 原子力規制委員会が24日公表した放射性物質の拡散予測で、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)で事故が起きた際の対策拠点となる島根県のオフサイトセンター(同市内中原町)が被曝(ひばく)エリアに入った。県は、被曝の影響を受けにくい安全な代替拠点を選定する必要性をあらためて突き付けられた。

 拡散予測によると、原発南東約9キロに位置する同センターは、1週間の積算被曝線量が100ミリシーベルトになるエリア。機能不全に陥った場合の代替拠点となる同13キロの県松江合同庁舎(同市東津田町)も同様で、エリアは最大24・2キロに達する。

 「30キロ圏外に安全な代替拠点を確保する、との思いは変わらない」。県総務部の細田晃参事は予測結果を冷静に受け止める。

 県は本拠地の安全性向上も重要として、11月に空気浄化フィルターの設置など放射性物質の防護対策に着手する。県庁に隣接し事故発生時の対応に好都合で「一定時間は移動させない」(溝口善兵衛知事)とする。

 ただ福島の事故では原発20キロ圏が避難指示区域となり、原発約5キロのセンターが機能しなかった。事故発生時に指揮する原子力規制庁島根原子力規制事務所の竹広智治所長は「対策拠点を移動させる場合の基準を国が早急に示す必要がある」と認める。(樋口浩二)

(2012年10月25日朝刊掲載)

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