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毒ガス死没者の冥福祈る 竹原の大久野島で慰霊式

 旧日本軍の毒ガス製造工場があった竹原市の大久野島で25日、毒ガス障害死没者慰霊式があった。製造に関わる障害で亡くなった元工員の遺族108人を含む約160人が参列。故人の冥福を祈り、生物化学兵器の根絶などを誓った。

 同市を含む8市1町や障害者団体でつくる大久野島毒ガス障害者対策連絡協議会が主催。協議会の神明正明副会長たち3人が、この1年間に亡くなった77人を加えて計3508人となった死没者名簿を慰霊碑に納めた。参列者全員で黙とう、花を手向けた。

 遺族の主婦川本啓子さん(60)は「島に来ると語り継ぐ責任を感じる」と話していた。

 県被爆者支援課によると、大久野島の毒ガス障害者として認定されているのは、3月31日時点で全国2605人、広島県2010人。島では、旧陸軍が1929~45年にイペリットなどの毒ガスを製造し、最盛期には年間約1200トンを生産していた。(山下悟史)

(2012年10月26日朝刊掲載)

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