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福山工高生が戦艦大和VR 自在に甲板歩き 飛行艇体験も 学び活用 記憶保存貢献

 福山市野上町の福山工業高の計算技術研究部が、呉市で建造された戦艦大和のVR(バーチャルリアリティー)作品を完成させた。甲板の上を歩く体験もできる。同時に、被爆前後の広島の街や福山城のVRも制作中。技術を駆使し、記憶の保存や地域の盛り上げに貢献している。(高本友子)

 大和は1945年4月に沈没し、3056人が亡くなった。VRでは、装置を着けると呉海軍工廠(こうしょう)の映像が現れ、呉港には停泊中の大和が見える。船の甲板をコントローラーを使って自在に移動。飛行艇に乗り、空から大和を眺める体験もできる。

 今年1月に制作を開始。元乗組員に話を聞くなどして、6月に原型ができた。その後、重厚感を出すために鉄のざらつきや汚れを加え、約1カ月半かけて作り直した。2年の中川勇飛部長(17)は「質感を表現する新しい技術に慣れるのは大変だったが、リアリティーが増した」と話す。

 部員は1~3年の13人。福山市の福山城築城400年記念のプレ事業に協力して福山城のVRも作っている。来年披露し、市民の関心を高める。ほかに、県立歴史博物館(同市西町)と協力し、日明貿易の遣明船に乗る体験ができるVRも制作中。また、高所体験の作品は、市内外のイベントで人気を博している。

 現在、活動の中心は被爆直後の爆心地付近の再現。現在は被爆前の街の橋や看板の汚れ、自転車のさびなどを作り込む作業を進めている。長谷川勝志教諭は「他のVR制作で得た手法を被爆前後の作品にフィードバックしている。より没入感のある作品に仕上げたい」と話している。

バーチャルリアリティー(VR)技術
 コンピューターで作り出した映像や音で、現実の疑似体験ができる技術。ゴーグル型のディスプレーなどを使い、360度の仮想空間を表現。視覚、聴覚などを刺激する。

(2017年12月7日朝刊掲載)

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