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原爆症早期審査求め 被爆者89人 国に不服申し立て

■記者 水川恭輔

 原爆症の認定申請の審査を待つ広島県内の被爆者89人が16日、国に行政不服審査法に基づく集団の不服申し立てに踏み切った。窓口となる広島市役所と県庁で「早くしてくれないともう間に合わない」などと、迅速な審査を求めた。

 89人のうち最も長い審査待ちは2年10カ月。市役所には支援者を含め約50人が早期認定を求める横断幕を手に訪れ、弁護士が厚生労働相あての申し立て書類を提出した。

 白内障に苦しむ広島市南区の無職佐伯忠義さん(71)は「全然結果が来ない。被爆者を本当に思うなら1日も早い認定を」と訴えた。

 厚労省によると、原爆症の認定基準を拡大する新基準が導入された昨年4月以降、認定申請は急増し、昨年11月末時点で、全国で約7900件が審査に入れていない。

 前立腺がんを患う夫に代わってこの日、申し立て行動に参加した大竹市の棚田セツ子さん(80)は「新基準になり、喜んですぐに申請したのに…」と目を潤ませていた。

 日本被団協によるとこの日は神奈川、愛知、兵庫県でも同様に集団の不服申し立てがあった。

(2009年1月17日朝刊掲載)

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