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級友禎子さんの思い出を英訳 広島の川野さん カナダ人元教員と協力

運動会やお見舞い…小学校時代をつづる本

 佐々木禎子さんの同級生で、被爆者の川野登美子さん(75)=広島市中区=が、禎子さんとの思い出などをつづった「原爆の子の像 六年竹組の仲間たち」の英訳を進めている。来年3月に完成させ、海外の小中学校などに贈りたいという。(桑島美帆)

 川野さんは家業の会社経営を退き、語り部活動に力を入れている。幟町小(中区)の2~6年生の時には元気だった禎子さんと同級で、6年は「竹組」。2013年に自費出版した本では禎子さんと縄跳びや運動会を一緒に楽しんだ小学校生活や、同級生と見舞いに行った時の様子、そして来年、60周年を迎える原爆の子の像の建立につながった竹組の子どもたちの活動を振り返っている。

 世界の情勢が混迷する中で「子どもが紛争や事件に巻き込まれて命を失っている。海外の子どもたちにも禎ちゃんや原爆について知ってもらい、将来、平和な世界が訪れるように」と英訳を思い立った。翻訳は広島女学院中・高の元英語教員でカナダ出身のポーリーン・ボールドウィンさん(59)=中区=に依頼した。

 中国放送が企画した漫画「まんがで語りつぐ 広島の復興」の英訳も手掛けたボールドウィンさんは「日本語と同じように子どもの目線で訳し、自分の問題として戦争や原爆について考えるきっかけに」と語る。

 翻訳が終われば英語と日本語を併記した改訂版として千部、発行する。来春、平和資料室ができる母校の幟町小をはじめ、市内の公立小・中にも配るという。さらに広島在住の外国人を経由し、海外の学校にも寄贈していく予定だ。

(2017年12月12日朝刊掲載)

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