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再開館 19年春に延期 原爆資料館本館 過去の施工不良発見

 広島市は11日、リニューアル工事中の原爆資料館本館(中区)の再オープンが2018年7月から19年春にずれ込むと明らかにした。過去の施工部分に不良箇所が見つかり、追加工事をするためという。

 市によると、10月に化粧壁や天井や床板を剝がして内部を見たところ、コンクリートの施工状態が悪く、はりが欠け落ちていたり、床の一部が薄かったりしていた。本館は1955年完成だが、市は施工状態が悪い理由は「分からない」としている。11月に文化庁と協議した結果、保存に向けた設計と工事をすることになった。

 さらに、犠牲者の姿が焼き付けられた「人影の石」など館内の大型展示資料を動かしながらの工事に想定以上の作業量が生じることも、リニューアル工事の延期につながったという。

 また、19年7月末の完了を見込んでいた耐震改修工事も遅れる。10月に本館の地下を掘削すると、基礎の一部が設計図と異なる形だったといい、設計の見直しが必要になった。現在は工事をストップしており、来年2月の文化審議会の審査を経て、設計変更する方針。完成時期は未定だが、市は被爆75年となる20年8月の平和記念式典の開催には支障が生じない見込みとしている。

 市平和推進課は「遅れるのは申し訳ない」とした上で「資料館が将来にわたって被爆の実態を伝えていくために、しっかりとした工事を進めたい」としている。(渡辺裕明)

(2017年12月12日朝刊掲載)

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