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反核訴え ノーベル平和センターでICAN企画展 遺品や写真「命」を問う

 非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のノーベル平和賞受賞に合わせた企画展の一般公開が12日、ノルウェー・オスロのノーベル平和センターで始まった。原爆資料館(広島市中区)が貸し出した動員学徒の遺品など被爆資料を並べ、米国の原爆投下により、広島・長崎で奪われた命の重み、核使用の非人道性を伝える。(オスロ発 水川恭輔)

 同館の提供資料は、広島市立造船工業学校(現市立広島商業高)1年で建物疎開に動員され、被爆死した舛田幸利さん=当時(13)=の布製かばん。長崎原爆資料館(長崎市)が所蔵する原爆投下時刻を指したままの腕時計とロザリオ、立命館大国際平和ミュージアム(京都市)の弁当箱とともに展示されている。

 見入っていたイタリアの平和団体メンバー、ダニエル・サンティさん(38)は「亡くなった人間の存在が心に迫る。二度と起こさないために努力を続けないといけない」と力を込めた。

 ほかに、中国新聞カメラマンの故松重美人さんが「8月6日」に撮影した御幸橋周辺の惨状の写真や、ICANの活動、核実験の回数などを紹介するパネルが掲げられている。来年11月20日まで。舛田さんの防空頭巾も後日並ぶ。

 公開に先立つ11日には、10日の授賞式で演説した広島市南区出身の被爆者サーロー節子さん(85)=カナダ・トロント=が見学。ゲストブックに「核兵器の完全な廃絶という夢への、次の段階へ進むことができた」とのメッセージを記した。

(2017年12月13日朝刊掲載)

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