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また落下 渦巻く不安 米軍事故現場ルポ 危険と紙一重 実感

 重さ7・7キロの米軍機の窓が、小学校の運動場を空から直撃した。13日、落下事故があった沖縄県宜野湾市の普天間第二小学校を訪れた。7日にも近くの保育園に円筒状の物体が落ちたばかり。大惨事につながりかねない落下事故が相次ぐ地域は、米軍基地と隣り合わせの不安と怒りが渦巻いていた。

 米軍岩国基地(岩国市)への米空母艦載機移転を巡り、名護市辺野古で取材していた最中、事故の一報を聞いた。そこから同小まで車で約1時間。昼すぎに到着した際、校門は児童を迎えに来た保護者と報道陣でごった返していた。学校側が関係者以外の立ち入りを禁じたため、現場を確認できなかった。

 運動場の端には木が立ち並び、そのすぐ向こうが普天間飛行場だ。事故当時、運動場では児童たち約60人が体育の授業中で、窓が落ちた場所と児童との距離は十数メートルだったという。「男の子たちが大縄跳びをしている方で板が落ちたような大きな音がした」。取材に応じてくれた4年生の女子児童は言葉少なに振り返った。

 「許せない」と、2年生の子どもを通わせる母親(39)。同小の約1キロ東にある緑ケ丘保育園に別の子どもを預けている。米軍機の部品とみられる円筒状の物体が落ちてきた保育園だ。この1週間でわが子が立て続けに遭遇した事故に「米軍は安全管理ができていない」と憤った。

 現場を離れる夕方まで、何もなかったかのように学校上空を米軍のヘリコプターや垂直離着陸輸送機オスプレイが飛んでいた。同保育園の神谷武宏園長(55)も怒りをあらわした。「米軍が上空を飛び続ける以上、事故は起きる。子どもが空の下で安心して遊べないのは不条理だ」。岩国をはじめ、米軍基地を抱える地域は危険と隣り合わせにあると実感した。(明知隼二)

トラブル 岩国基地でも 48年以降 自衛隊や米軍機 相次ぐ

 岩国市の米軍岩国基地周辺でも落下物トラブルは相次いでいる。市に記録の残る1948年以降、広島、山口、愛媛県で確認されたのは47件。うち20件は自衛隊機で、残る27件の多くが米軍機と見られている。

 直近の米軍機関係では2004年4月、訓練中のFA18ホーネット戦闘攻撃機が布製の模擬標的(長さ12メートル、幅2・7メートル、重さ約4・5キロ)などを宇部市沖で落とした。

 ホーネットは、00年7月から01年4月までの1年足らずの間にも、金属シリンダー状部品(直径8センチ、長さ6センチ、重さ約300グラム)などを中国山地や基地滑走路北側に落下させるトラブルを4件起こした。いずれもけが人などの被害情報はなかった。

 また岩国基地には、宜野湾市で窓枠を落としたヘリコプターと同系統の8機が配備されていたが、在日米軍再編の一環でグアムに移転した。(松本恭治)

(2017年12月14日朝刊掲載)

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