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中電、当面値上げせず 原発停止の影響 限定的

 関西電力や九州電力が電気料金の値上げに動く中、中国電力は当面値上げをしない方針でいる。中電は原発の割合が低く、原発停止による業績への影響が相対的に少ない。ただ停止が長引いた場合、値上げを検討する可能性もある。

 中電は31日、2012年9月中間決算を発表する。島根原発(松江市)の全停止で代わりの火力発電所の燃料費がかさみ、大幅な赤字の見通し。ある役員は「まずは社内の効率化を進める」と説明する。

 中電の原発比率(11年度の出力ベース)は8%。値上げ検討を表明した関電の28%、九州電力の22%と比べて低い。火力発電のコストが経営を圧迫する影響は他社より小さく、今期の配当も年50円を維持する見通しだ。

 ただ今後も原発停止が長引けば、財務の悪化は深刻になる。中電の場合、原発の稼働分を、全て石油で代替すると年間800億円の減益要因になる。同社は13年3月期業績予想を「未定」で据え置く方向だが、「600億円以上の最終赤字になり、将来の値上げは不可避」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)との見方もある。

 再稼働の前提となる国の安全基準作りは、来年7月までずれ込む見通し。来期以降、中電が値上げを検討する可能性もあるが、消費者からはコスト削減努力などに厳しい目が向けられそうだ。

 電力会社は燃料費調整制度で毎月料金を見直しているが、基本となる料金体系は同じで、中電は08年9月以降変えていない。(東海右佐衛門直柄)

(2012年10月31日朝刊掲載)

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